人手不足と言われているのになぜ賃金が上がらないのか?
現在の日本は人材不足と言われています。
若者が少なく、高齢化が進んでいます。
高齢者が多く、働く若者が少ない。
こんな状況になっています。
しかし、給料が上がらない。人手不足なのに上がらない。
なぜなんでしょうか?
働き手が少ないのになんで賃金が上がらないのか不思議に思ったことはありませんか?
大きく理由を3つ上げます。
1.給料は下げにくいから、給料を上げにくい。
2.人材育成ができていない
3.就職氷河期の影響
これらの理由でなぜ賃金が上がらないのか説明していきます。
給料は下がりにくい。
給料は下がりにくいんです。それが給料が上がりにくい原因となっています。
これはどうゆうことなのか。
給料が下がりにくいっていいことじゃないか?と思うかもしれませんが、
下がりにくいから給料を上げることが難しい。
人間は増える喜びよりも、減ることの方が大きな心理的ダメージを受けます。
これを「損失回避特性」と言います。
増えることよりも減ることの方が人間は嫌がります。
だから一度支給された給料が基準となってしまい、そこから給料が下げられてしまうと大きな抵抗感を感じます。
このような話は経済学では昔から言われています。
有名な経済学者のケインズは給料は下がりにくいことを「貨幣錯覚」と言っています。
日本では給料を下げる企業は少ない。
日本は過去のバブル崩壊、長期不況、リーマンショックなどの大きなショックを受けてきたが日本の企業は給料を下げることは8割の企業で行われていなかったことが分かっています。
給料を下げない企業が多かったのです。
するとどうなっていったのか。
給料を下げた企業ほど給料があがる
不況期に給料を下げた企業は経営が好調な時は給料が上がっていることが分かっています。
過去10年間で所定内給与のカットを実施した企業ほど、所定内給与改定額が大きいほか、利益率の上昇に伴ってより多く所定内給与を引き上げていることが明らかになった
日本企業の多くは給料を下げることをしなかったから、賃金を上げることができない原因の一つと言える。
大企業の内部留保はたくさん眠っている
企業にはたくさんの内部留保が眠っているところがたくさんあります。
大企業と言われるところには兆という金額があります。
それは従業員に還元されることは少ないです。
企業が好調でたくさんの利益をもたらすことがあっても、企業側は給料を上げることを怖がってしまうのです。
人材育成ができない。
給料を上げる一番早い方法は個人のスキルを上げることです。
周りの人間との差別化、専門性を持つことでその人の価値は上がります。
皆が同じ能力をもっていても意味はありません。
日本は分厚い中間層を持っていることが大きな特徴でしたが、1990年代低賃金層、中間層、高賃金層とすべてにおいて給料は上がっていましたが、
2000年代になると、中間層は大きく給料は下がってしまった。
高賃金をもらっている(スキルがある)人材だけが給料が上がっています。
なぜ中間層が減ったのか?
2000年代にアメリカ企業の変化によって日本の人事制度に変化をもたらしたことが一つの理由です。
80年代までのアメリカ企業の働き方は会社の中心となる人材の雇用を保障しながら、長期勤務を促し、内部育成を行っていた。
日本のような終身雇用や年功序列の制度を持っていた。
しかし、80年代以降に市場原理が企業に持ち込まれることによって変化が起こった。
企業と従業員の関係が変化し、勤続は短期化し、内部の育成に力を入れなくなった。
資本主義の市場が企業に持ち込まれることで短期で結果を出さないといけなく、雇用契約も短期化し、人材は流動化している。
長い目で人材を育成するということは難しくなってしまった。
高賃金で働ける人は内部で育成を受けることができる。
企業の為になる人材なら長い間育成を受けることもできる。
そして中間層と高賃金層は格差が広がっている。
個人のスキルを上げることを考える
人材育成がないとなぜ賃金が上がらないのか?
理由は、多くの会社が育成をすることができないから、労働市場に人材が供給されることもないので採用することができないからです。
現代は転職がしやすい時代でもあるが、一つの企業で一つのことを特化して学ぶということが大きな価値を生み出します。
人材育成をしっかりと注目していろんな所で勉強などをする機会を設けないといけない。長時間労働なんかするのではなくて、自分でなにかを勉強する時間を作らなければならない。
膨大な選択肢があり嫌ならすぐに投げ出せる時代だからこそ、特定の領域に特化して強みを磨き上げ、執着を持ってやり抜く人は大きな信用を得やすくなった。反対、半端な知識やスキルや経験の価値が急速に失われてきている。
— Katsuaki Sato (佐藤航陽) (@ka2aki86) 2017年7月22日
就職氷河期世代の影響
氷河期世代とは
2010年代半ばの時点で、働き盛りの30代後半から40代前半の世代の多くは、彼ら彼女らが新卒採用活動を行っていた時期が長く厳しい不況期と重なっており、いわゆる「就職氷河期世代」と言われている。
氷河期世代の人達はかなり悲惨な状況になっていている、他の世代に比べて賃金が圧倒的に低くなっている。
時期が少し違うだけで同じ大学卒や高校卒であっても賃金が大きく格差があるのだ。
なぜそのようなことになったのか?
1.日本型雇用慣行の崩壊と成果主義等に代表される新しい人事、給与制度の導入時期が、氷河期世代が働き始めた時期に重なった。
2.長引く不況や国際競争の激化に伴う企業側の余力の喪失により、労働分配の低下や賃金カーブのフラット化・昇給の抑制などが生じた時期に就職氷河期が重なった。
3.社内研修など企業内における教育訓練や人材育成を行う余力も失われた時期に、就労初期の仕事うぃ覚える時期が重なって、氷河期世代は十分な職業能力の蓄積ができなかった。
4.大量採用をしたバブル期就職世代(40代後半から50代前半)の人口が多く、氷河期世代は昇進、昇給の面で不利益をうけた
5.バブル期就職世代と比べて、氷河期世代では、規模の小さい企業に就職したり、転職が一般かしたりしたことで勤続年数が短くなった。
このような理由で氷河期世代は賃金が上がることが難しくなった。
上の世代と少し時期が違うだけでかなりのダメージを受けてしまっている。
就職氷河期世代の労働者の割合が一番多い。
2015年時点で30代後半から40代前半にさしかかっているのが「氷河期世代」である。
この労働者数の割合は27.3%を占めていて、どの年齢の階層よりも多い。
不利益を受けている「氷河期世代」が今一番多く働いていることが賃金が上がらない理由の一つなのだ。
就職氷河期世代の賃金が上の世代に比べて低下していることは、全労働者の賃金の押し下げ要因として一定のインパクトを与えていると推測できる。つまり、人口サイズの大きい就職氷河期世代の賃金が低く抑えられていることは「人手不足なのになぜ賃金が上がらいのか」という疑問に対する一つの回答になっていると考えられる。
大きな変化の時にどうする
日本は働き方などで大きな変化をしなければいけない時期に差し掛かっていると言える。
これからの労働人口は少なくなる。団塊の世代がごっそり抜け、高齢化を迎え、働ける若者は少なくなる。大きな負担を若者は背負うことになるだろう。
今のように長時間労働、効率的な働き方ができない、スキルが見に付かない状況では日本の未来は暗いだろう。
世界に置いていかれている日本はこれからもどんどん離されていくのだろうか。
きちんと考えないといけない時期に差し掛かっている。
引用