IT原理 インターネットは世界のどこを変えたのか。
大人気の本になった「モチベーション革命」の著者である尾原和啓が書いていた「IT原理」という本がとても分かりやすく、インターネットがどう変わり、経済はどう変化したのか、これからのインターネットはどうなっていくのかを知ることができる。
かなり分かりやすく、とても勉強になります。
インターネットというのは何を目的としているのか?
なぜグーグルはすごいのか?
そんなことがとても腑に落ちて理解することができる。
インターネットの特徴は何か?
そもそもインターネットの何がすごいのかというと、時間的、空間的な制約を受けることがないというのが一番の特徴である。
この制約がなくなったことでビジネスの全てが変わってしまったのです。
著者は大学生の時に中古のバスを買って、アジアの国に売るというビジネスをしていて儲けることができたのだが、インターネットが出てきたことで、そのバスはどこで手に入るのか、などの情報が見ることができて、多くの人がビジネスに参入することができるようになった。
インターネットは情報の民主化とも言われ、これまでは情報を持っている人が一番偉かったが、それはもう意味を持たなくなり、誰でも情報を持つことができるようになります。
だからこそ、転売などのビジネスはインターネットがない時は旨味のあるビジネスだったのかもしれないが、情報が誰でも手に入ることで、旨味は少なくなっていったのです。
インターネットのビジネスとは?
様々なサービスがインターネットにはある、グーグル、ツイッター、フェイスブックなど、そのデカすぎる企業のサービスは我々は無料で利用できる。
なぜ無料で利用できてどこでお金を儲けいるのかわからない方も多だろう。
簡単に説明すると、誰でも利用するグーグルマップなどで調べて自分が行きたい店に誘導してそれによってユーザーはどこの店に行きたがっているのかを知ることができます。
その情報はグーグルだけが握っている情報です。
それをグーグルは情報を欲しがっている企業に売るというビジネスの形をしています。
世界中に散在しているユーザーを一か所に集めて、そのユーザーを金を出しても欲しいと思っている企業や人と結びつける、マッチングするのが、インターネットのビジネスなのです。
インターネットがなかった時代は「モノを安く仕入れて高く売る」ものだったが、インターネットは「安く仕入れて高く売る」という形のビジネスに変わったのです。
最近出てきたゾゾタウンのサイズを測ることができるスーツもなぜ無料で利用することができるのか。
それはいろんな人の体のサイズのデータを知ることができるからです。
その情報はゾゾタウンに集まることで自社のビジネスに利用することができ、他の企業も欲しがっているところは多いのです。
データこそが大切なのです。
これからのインターネットのビジネスの形は?
著者はドコモのiモードを作った凄い人です。
昔のインターネットはとても印象が悪く、すぐにウイルスにかかってしまうなどの評判があり誰もが使いたがらないものでした。
そこで誰でもが気軽インターネットを利用してもらえるように作ったのがiモードの出発点でした。
そしたらiモードメールという絵文字を使うことができるメールが人気が爆発をしたのです。
電話というメディアは相手の時間を奪うものです。相手の都合を取ることなくかかってきて、強制的に時間を奪うという暴力性を持っています。発信側にするととても心理的な発信コストの高いコミュニケーション手段です。
そこでiモードメールがコミュニケーションのコストを劇的に下げたのです。
それによってどうでも良いことなどでもメールを送ることができ、コミュニケーションを楽しめるようになったのです。
こんなにも需要があることがとても意外で、かなりびっくりし、コミュニケーションの市場はとても大きく、お金になることを知ったのです。
日本のハイコンテクストの文化
日本は「ハイコンテクスト」な文化です。
なぜ絵文字が日本から生まれたのかというのも「ハイコンテクスト」が関係しています。
「ハイコンテクスト」とは言葉ではない言葉の背景、感情などを大切にするという意味です。
だから絵文字などの感情を言葉では表せない感情を表すために使うのです。
逆にアメリカは「ローコンテクスト」な国です。
なぜアメリカが「ローコンテクスト」なのか?
それは移民がたくさんいるので、文化の背景などを共有することができないからです。
このアメリカ的な発想は、一面で危険性も孕んでいます。誰から買っても同じものを売るということは自然とボリュームの勝負になるということです。大量に仕入れられる業者は仕入れ価格を抑えられるから値段も安くなる。そして、ほかの業者はそれに対抗するためにやはり、価格を下げなければならないという、価格競争の連鎖へと繋がりがちです。
だからアマゾンなどの商品の内容だけが書いていあり、大量に買うことができることだけが必要で、誰が作り、どのような背景があるのかなどは関係なく、そんな情報は必要ありません。
このような世界を変えるには日本人が持っている「ハイコンテクスト」な文化が必要なのです。
文化の背景までもきちんと描くということが大切なのです。
ダイソーの社長のこのようなエピソードがあります。
映画を映画館に見にいくと、およそ2時間で2000円くらいかかります。ダイソーなら500円で30分楽しめる。とてもいいのではないか、と矢野さんはおっしゃっていました。つまり、ダイソーでは品物そのものだけでなく、店の空間全体、個々の品物が背景に持つ物語、それを買った自分の物語、それらを全部ひっくるめて売っているということです。これはとてもハイコンテクストな考え方であり、ビジネスのやり方です。
映画はまぎれもなく世界言語である。多様性を背景にしながら、その差異を軽々と越境し、皆が映画の住人としてつながれるというこの豊かさ。その豊かさの前に、現住所は意味を失う。
このように世界に通じるコミュニケーションは英語でもなく、中国語でもない、非言語の世界にあるのです。
ITが作る素晴らしい世界にこれからも期待したい。