思想の備忘録

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「弱者の戦略」 動物にとって強さとは何か?

人間は努力をすればいつか夢は叶い、何倍も努力をすれば強者に勝つことができると考えてしまう。

しかしそれは本当だろうか?

 

 

私たち人間は、頭が良すぎるのだろうか。ときに迷い、ときに悩む。そして考えすぎたあげく結局は間違えた道を選ぶことが少なくない。それに比べて、私たちよりずっと下等に思える生物は、その生き方を見れば確かな答えを持っている。

 

 

 

動物の世界は弱肉強食の世界だ。

弱いものは食われて終わる。

 

 

だからこそ生存をかけて弱い生物は考えていろんな戦略をとってきた。

 

戦略とは漢字の通り、戦いを略すという意味である。

戦うことなく、自分が生き残れる場所を見つけるということが戦略である。

 

動物の世界には弱い人間が生き残るにはなどを考えるヒントがたくさんある。

 

 

 

強さとは何か?

 

動物の世界では最強と言われる肉食のライオンがいる。

ライオンはシマウマなどを食べながら生存している。

しかしライオンは絶滅しそうというのを聞くが、シマウマが絶滅するなど聞いたことがない。

 

それはなぜなのだろうか?

結局はライオンはシマウマに依存して生きていると言える。

 

他者に勝つことだけが「強さ」ということではないのだ。

単純に相手よりも強いだけでは動物の世界では生きてはいけない。

そして他者に勝つために努力するということも意味をなさない。

 

 

弱者は複雑に、強者は単純に

 

弱者は強者にすぐに食べ物にされてしまう。

だからこそ、数が必要になる。

シマウマなども弱いので数が多い。

 

イワシなどもたくさんの数が群れをなして、大きい魚に食べられないようにしている。

数が多いだけでなくてたくさんのオプションを用意しており、変化に強いのも弱者の動物の特徴である。

 

畑などに農薬を撒くことで、逆に昆虫が集まってくるという現象がある。

これは農薬を撒くことで、いろんな昆虫が死ぬことで、その場所を狙って他の昆虫が集まるということだ。

弱者にとって、チャンスは恵まれているところにあるのではなく、少し条件の悪いところにこそチャンスがあるのだ。

 

安定した環境で弱者が勝ちに行くことは難しいが、変化のある不安定な環境の方が、多くの弱者にとってチャンスがある。

劣悪な環境はどんな生物にとっても嫌なものであるが、弱者にとっては、強者に対抗して勝者になれるチャンスであるのだ。

 

 

動物の戦略に中間はない。

 

動物の大きさは中間に位置している動物は少ない。

「大きい」か「小さい」かの二択が多い。

中途半端な位置にいる生物はすぐに食べられ絶滅してまう。

 

ゾウアザラシはオスとメスの体格差がとても大きい。

体の小さいオスはなんと、なんとメスになりすましてハーレムの中に忍び込み、子孫を残すのだという。

 

つまり「大きいこと」が勝ち残るための戦略であるのと同じように、「小さいこと」もまた、有効な戦略なのである。そして、平均であるはずの中間的な個体は戦略的に中途半端で子孫を残すことができないのである。

 

生物は生存競争があまりにも激しいのでいろんな戦略を考えながら生きてきた。

その中には弱い人間が生き残るにはどうしたらいいのか考えるヒントが隠されている。

ただ努力すれば勝てるという甘い考え方を捨てて、どうやって戦わずして勝つかを考えることが必要である。

 

今は時代が大きく変化している。

平成も終わりに近づいている。

この変化の時代、悲観的になって何も行動を起こさないのはとても勿体無い。

弱者は不安定な環境でこそ強者に勝てる。

 

さあどんな戦略をとろうか。

 

 

  

弱者の戦略 (新潮選書)

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