思想の備忘録

農業のこと、本のこと、思想のことなどなど

「日本再興戦略」を読んで。

今話題になっている人物の落合陽一さんの新しい本が発売された。

newspicksなどで落合さんのライブ放送などを見ていると半端ない知識と言葉で、視聴者を惹きつけ、幅広い知識のつながりを見せ圧倒させます。

 

今回のこの本には今まで落合さんが語っていたことが分かり易い言葉で書かれていて、これからの日本はどうすればいいのかを知ることができます。

 

ぜひ皆さんも一度は読んでほしい本です。

 

平成という時代に終わりを見せようとしている今、これまでの日本の歴史やどうやって発展してきたのかを振り返ることはとても大切で、これからどのような日本の道筋を歩めばいいのかを考えることにも繋がります。

 

だからこのタイミングでこの本を読むことは意味があるのです。

 

 

まず日本には「近代個人主義」が合わなかったということが大きいと言います。

日本の近代化とは西洋を真似ることでしたが、その思想の根底には二分化して物事を考えることがあります。

 

例えば、幸せと幸福、良いと悪い、などの考えがはっきりしています。

一神教である欧州は最強の個人になって神様に救われることが一番の目的になっているからこのような思想になるのです。

しかし、日本は八百万の神様が存在しています。

この神様しかいないなどは考えず、人それぞれの宗教観があります。

 

もともと日本人は幸福などは考えておらず、幸福という概念は明治時代に西洋から持ってこられたものです。

幸福など考えたこともない人間がいきなり、幸せはモノを買ったり、お金を儲けることが幸せなんだということを刷り込まれ信じこまされます。

 

それによって日本人の幸福感とは同じような感覚になっていきます。

そして高度経済成長に入っていきます。

 

落合さんは高度経済成長の正体とは「均一な教育」「住宅ローン」「マスメディアによる消費者購買行動」と言っています。

 

つまり、国民に均一な教育を与えた上で、住宅ローンにより家計のお金の自由を奪い、マスメディアによる世論操作を行い、新しい需要を喚起していくという戦略です。

 

やはりマスメディアの影響が大きく、トレンディドラマに象徴されるようにあんな生活ができたら幸せという価値観が生まれてきます。

 

圧倒的に大きかったテレビというメディアによって国民は均一化していくのです。

それで需要が生まれ、あの高度経済成長が生まれていきました。

 

このようにみんなが同じような方向へと進んでいくことが正しいというのが日本の根底にはあるのだと思います。

だから出る釘は打たれ、集団の圧力は強くなります。

 

日本人は昔から個人という思想はなく、集団の中の一人でいることが合っています。

個人という考えは圧倒的に日本人には合わないのに、個人個人と言われ血迷っているのが今の現状だと思います。

 

もっと自然に生きて、自分探しなどするのもある程度は必要ですが、周りに流されて生きるのも必要だと思います。

誰かが言っていましたが、自分という人間を知るのは周りにいる人に聞いてみるのが一番いいのです。

 

 

今は、「人生百年時代」と言われ、「ワークライフバランス」などもよく聞く言葉になりました。

大人気の著書の「ライフシフト」に書かれていますね。

 

しかし、落合さんは「ワークアズライフ」の方が日本人には合っていると言います。

仕事と余暇を分けるのが「ワークライフバランス」です。

それも西洋の思想であるのです。

 

「ワークアズライフ」とは仕事も余暇も分けず、ストレスにならない仕事をするということです。

まさにユーチューバーのように生活が仕事になることです。

生きていることで価値を生む状態です。

 

 

僕は田舎で生まれ、一度都会に出て、田舎に戻った人間であるが、まさに田舎は「ワークアズライフ」だなと感じます。

農業をやっている人は明るくなったら畑に出て、暗くなったら帰るそんな生活です。

時間という概念はあまりないと言えます。

 

だから仕事と生活の区別がないからストレスも少ないと感じます。

生きること=働くこと(野菜を取る、タネを埋める)の状態です。

 

まあ田舎には都会のように遊ぶところもお酒を飲みに行くところが少ないのでこのようなライフスタイルになりがちですが、田舎と都会を経験した身からしたら田舎の方が圧倒的にストレスが少ないように思います。

 

落合さんはこれから「百姓の生き方」時代だとも言っています。

百姓とは百の仕事をするという意味です。

農業だけのことをいうのではありません。

 

色々な仕事をすることはどの仕事がダメになっても次があります。

今の時代どの仕事がなくなるかわかりません、だからこそ動き続けるのです。

そして仕事と仕事を掛け合わせることで自分なりのオリジナリティにもなると思います。

 

 

日本という国はこれから高齢化も迎え、どんどん落ちて行くように思うのかもしれませんがこの本にはそこまで悲観することもない未来が描かれています。

 

今この時代の変化している時期に変化をしないといけません。

チャンスをしっかりと掴むことが大切だと思います。

 

これからの日本を生きる人は必読です。

 

 

 

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

日本再興戦略 (NewsPicks Book)