思想の備忘録

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なぜ「不倫ネタ」が人気で、芸能人を叩く人が多くなったのか?

今世間を賑わせている「不倫ネタ」や「芸能人ネタ」。

一般人から注目を集め、バッシングを浴びせる人がとても多いです。

国民総バッシング時代」とも言えます。

 

なぜ今こんなにもバッシングが増え、不寛容になっているのでしょうか?

そもそも不寛容さは「現代の病理」なのでしょうか?

 

その答えが中野信子著「シャーデンフロイデ」に書いてあります。

なぜこんな現象が起きているのかを知るには、オキシトシンという成分、日本の国民性などが関係しています。

 

オキシトシンとは人間にどんな影響を与えるのか?

 

オキシトシンは「愛と絆のホルモン」とも呼ばれ、大きく二つの効果があります。

「安らぎと癒し」、「愛と絆」です。

 

ある実験では、抱きしめたり、撫でる、優しくするなどの行為を幼少期の子供にかけずに育てられた場合は半数以上の子供が成人になるまでに亡くなっています。

その他にも男女の仲にも大きく関係しており、オキシトシンが性行為中に分泌され、女性は子宮頸部の刺激によってオキシトシンが分泌され、性行為を行なった男性に愛情を抱きやすいことが分かっています。

 

このようにオキシトシンの働きは人間の行動を左右する大切な成分です。

人間はオキシトシンに動かされているとも言えます。

 

シャーデンフロイデとは?

 

この本の題名にもなっている「シャーデンフロイデ」とは妬み、他人を引きずり下ろして喜ぶ感情のことです。

 

シャーデンフロイデ」になっている人が多いのが今の日本です。

この感情を引き起こす原因がオキシトシンにはあります。

実は愛と絆を強めるオキシトシンの分泌量が多くなると、自分たち以外の集団に対するバイアスが強くなることがわかっています。

 

オキシトシンは良い効果もありますが、悪い効果もあるのです。

 

例えば、夫婦は浮気しないものだという前提があり、「不倫ネタ」などは一般の夫婦のルールを破った者として大きく批判を浴びます。

自分たちの「愛と絆」を破る他の集団に対してとても批判的になり、不寛容になるのです。

 

感情を大きく左右するオキシトシンは妬みの感情も引き起こすのです。

 

 いじめが起きやすい環境とは?

 

いじめが起きやすい環境は普通に考えると「いじめはダメだ」というルールを決めることでいじめが少なくなると思いますが、

実はそのようにルールを決めることで逆にいじめが起きやすくなります。

なぜルールを決めるといじめが起きやすくなるのか?

 

「いじめをしない」というルールを破った者は排除されることになり、破った者はいじめても良いと考えるからです。

 

夫婦の間でもルールが多いほど離婚しやすくなります。

このようにルールを決めることで、ルールを破った人を攻撃しやすい環境を生み出すのです。

 

日本人は絆やルールに動かされることが得意な人種です。

そのことが今の「不寛容さ」を生み出す一因になっているのです。

 

 

日本人は自分で意識決定するのが苦手な人種

 

日本人は個人で意思決定をすることが苦手な人種と言えます。

それはこれまで歩んできた歴史が関係しているのです。

 

日本はほとんどが農民として米作をしていて、米を中心にこれまで日本人は生活してきました。

米を収穫するには、個人だけでは難しく、集団との協調が大切でした。

集団からはみ出してしまうのは昔の人は死を意味すると言っても過言ではなかったのでしょう。

 

現代生きている日本人は、集団との協調性を保ちながら生き延びることができた人間とも言えます。

 

だから日本人は協調性という性格を持ち、「空気を読んで行動する」ことが強く求められるのです。

 

その遺伝的な性格が脈々と受け継がれ今の日本を作ってきました。

過労自殺や就活で自殺してしまうのはこの辺が関わってきているのかもしれません。

集団から受け入れられることがとても大切なので、誰にも受けられないというのは日本人としては死を意味してしまうのかもしれません。

 

協調性の高い人は、集団全体の利益、つまり公共性やフェアであることを重んじるため、不正に利益を得ようとしている相手を許すことができず、「自分が損をしても一矢報いなければ」という行動をとる傾向がある、ということになるでしょう

 

 協調性の裏には攻撃性も眠っているのです。

 

 

このように現代の病理として描かれている「不寛容性」は実は昔からあったことなのです。

日本人の性格には「不寛容性」、「バッシング」というのはつきものなのです。

 

インターネットが発達したことで人々の声が届きやすくなり日本人の性格が露わになっているのが今の問題に繋がっています。

この問題は解決することは難しく、暴走は止められないのかもしれません。

 

私たちは「バッシング」や「いじめ」は日本人には馴染みの問題ということを意識しないといけません。

誰でも被害者になり当事者になりやすいのです。