思想の備忘録

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仕事にモチベーションは必要ない。

今の日本ではモチベーションという言葉が多く使われています。

当たり前のように今ではみんな使うようになっているのですが、実はモチベーションという言葉を使い始めたのは2008年頃から増えてきたようです。

 

「モチベーション」という言葉はいつ頃から使われるようになったのであろうか。

読売、朝日、毎日の一般三紙と日本経済新聞の記事上への「モチベーション」という言葉の登場回数を調べてみた。すると、1990年代には四紙合わせて年間で1、2件と、ほとんど登場していない。2000年代前半は10件前後とまだまだ少なく、2000年代後半に入って増加傾向を示し、2008年には110件と初めて100件を超え、それ以降香水中んが続いている。ちなみに2008年はリーマンショックの年である。

 

なんの考えもなく使っていたモチベーションという言葉はリーマンショク以降に使われ始めたのです。

なぜ急に使われ始めたのか。

 

筆者はこう言います。

モチベーションという言葉は思考停止のキーワードとも言える。便利な言葉なので、安易にその言葉に飛びがちなのだ。

 

日本経済が低迷し始め、会社は社員を上手く働かすためにモチベーションという言葉をみんなが使い始めています。

安易に使い始めた言葉で大きなストレスにも繋がっています。

 

「何のために?」が現代のストレスに繋がっている

 

モチベーションという言葉を筆頭に現代では考えさせられることが多くなっており、それがとてもストレスに繋がっています。

 

現代は、仕事をするにあたって「何のために?」という迷いが非常に強く存在し、それは精神を疲弊させ、モチベーションの危機を招き、心の問題を引き起こしている。

 

 大学生などは就職する会社を選ぶときに「やりがいは?」、「何のために?」、「自分の好きな仕事は?」などを社会に出る前にかなり考えさせられ、企業側も自己分析などと言って考えさせます。

 

果たして社会のことを何も知らない学生にやりがいなどを考えさせることがいいのでしょうか?

学生も実際に働いてみたら全然思っていた仕事と違うと思い辞めてしまうということに繋がっているのではないでしょうか。

 

 

やりがいのある仕事とは何なのか

 

現代はSNSの影響などもあって仕事のことなどの情報などが入ってきやすいのでキラキラした業界などに憧れて入る人も多いのでしょう。

しかし、仕事はそんなにキラキラしているものではなく、仕事で成果を出している人はその裏で淡々とした仕事をこなし、努力し、仕事の成果に現れるのです。

 

どんなに脚光を浴びているように思われる仕事でも、地道な作業をコツコツとこなしている時間の方が圧倒的に長いのが普通だ。また、どんな時ごとでも必ずマンネリ化する。当初どんなにワクワクしたとしてもそれが持続する期間は長くはないのだ。

 

ある仕事で成果を出している人はこのように言っています。

「仕事なんていうのは、やりたくないことの方が圧倒的に多いわけだから、やる気なんてなくて普通」と言ってのけたのだ。「そんな中でも、何かの拍子でやる気が出たり、面白くなったりすることがあるんですね。お客さんが予想外に喜んでくれたとか、職場でふと口にしたダジャレが妙に受けたとか、そんなことで気分が盛り上がったりするものなんです。そういう時は、おやおや今日は結構やる気があるな、とその状況を楽しむんです」

 

このように仕事は大半はつまらないものだと考えていた方が何か些細な出来事に出会うことで喜びも大きくなるのではないでしょうか。

いちいち仕事のモチベーションを考えていると仕事をやる前からやる気をなくしてしまいます。

 

日本の職人さんなどは毎日淡々とこなし、そこにはモチベーションという言葉も存在していません。

彼らは毎日仕事に取り組むことで日本の職人芸を作り上げてきました。

職人はどのようなことを考えて仕事をしていたのか、筆者はこう言います。

 

「何も考えず、ただ手作業を自動化し、今日も昨日と同じように、明日も今日と同じように働く。こういう日々が何十年も続いた後、ひっそりと死んでいく。一つの仕事に職人気質で徹する人生は、心の安定という意味では非常に幸せと言えるだろう。これは、日本という社会の穏やかさにも通じるものある。」

 

いちいちモチベーションなどを考えて仕事をしているとストレスは大きく溜まります。

モチベーションが先にあるのではなく、行動が先にあるのです。

自分にできることを淡々とするということが今の時代に求められていることだと感じます。