「論語と算盤」 今の日本人に必要なのはこの本だ。
渋沢栄一という人物はご存知だろうか?
誰でも一度は耳にしたことがある人物であろう。
この人は「日本資本主義の父」と呼ばれており、日経新聞、サッポロビール、みずほ銀行、帝国ホテル、明治神宮など設立に関わった会社は約470社、500以上の慈善事業にも関わっています。
渋沢栄一が明治時代から新たに日本を作り上げた人物だと言ってもよいでしょう。
外国がどんどん経済的に強くなってくる中で、日本も経済を強くしなくてはいけないと考え、経済を回しながらも、資本主義が利益重視になって暴走してしまうことも考えながらどうやって暴走を止めながら社会を良くすることができるのかを実行しました。
平成の時代も終わりを迎えようとしている今、
世界一の経済大国まで成長した日本ですが、現在は先進国と呼べるかどうかもわからない状況になっています。
我々は一度この状況を振り返ることが必要な時期に差し掛かっているのでしょう。
大きく変化を迎える現代にこれから何が必要なのかを考えなければいけません。
「論語と算盤」はその名の通り中国の「論語」を中心にしながら、経済と道徳について書かれています。
その内容には今の日本を予言しているかのような言葉や、社会で良く生きるとはどういうことなのか誰もが一度は読むべき本だと感じます。
日本ハムファイターズの選手は「論語と算盤」を入団したら必ず読まされるそうです。
あの大谷選手も読んでいます。
その中から気になった言葉を選んで紹介します。
豊かさと地位とは「人類の性欲」とでもいうべきものだが、初めから道徳や社会正義の考え方がない者に向かって、利益追求の学問を教えてしまえば、薪に油を注いでその性欲を煽るようなもの。結果は初めからわかっていたのだ
まさに今の日本の状況を言い表しているようです。
現代は資本主義が暴走しており、この状況を止めることは難しいのかもしれません。
その原因はひたすら金儲けだけに人々は駆り立てられ、道徳などの教育はおろそかにされている。
金こそが正義という思想しかないのです。
金が金を生むのが資本主義の特性なので、金さえあれば勝つことができるのです。
そこが暴走の一員になります。
そのことに初めから気づいていた渋沢栄一は素晴らしい人物です。
しかし、仮想通貨や、ベーシックインカムなどの言葉が出てくるように経済はとても多様化してきています。
そこでお金という影響力が弱くなってきているので、次の時代は社会正義や道徳など人間性という部分が大きな力になるのではないかと思います。
どのような人間なのかが大切だからこそ、社会で必要なものとは、道徳などの勉強がこれまで以上に大切になるのではないでしょうか。
どうも物質文明が進んだ結果は、精神の進歩を害したと思うのである。わたしは常に、精神の向上を、富の増大とともに進めることが必要であると信じている。人はこの点から考えて、強い信仰を持たなければならない。
結局、道徳の根本に関していうなら、昔の聖人や賢人の説いた道徳というものは、科学の進歩によって物事が変化するようには、おそらく変化しないに違いないと思うのである
中国3000年の歴史と言われ、いろんな戦いなど経た中で生まれたのが「論語」です。
歴史の中で生まれた言葉は現代にも遜色なく、社会で生きていくのに必要なエッセンスがぎっしり詰まっています。
渋沢栄一も社会で必要なことは「論語」に書いてあると言っています。
道徳、人間の本質はすぐに変わるものではなく、時代を経ても受け継がれるものなのです。
だからこそ昔の人が言っていることは大切にしなければなりません。
生きるために必要なことは昔の誰かが言っています。
一時の成功や失敗は、長い人生や、価値の多い生涯における、泡のようなものなのだ。ところがこの泡に憧れて、目の前の成功や失敗しか論ぜられない者が多いようでは、国家の発達や成長が思いやられる。なるべくそのような浅はかな考えは一掃して、社会を生きるうえで中身のある生活をするのがよい
成功者の声が大きく聞こえる現代で、多くの人は成功に駆り立てられています。
憧れるあまり毎日の生活はおろそかになりがちです。
しかし、失敗や成功などは気にすることは浅はかだと言っています。
結果を見ているだけでは豊かな生活は送ることはできないということでしょう。
成功や失敗を超えて歩む人生を選びたいものです。