ユートピアを達成した現代になにが起こっているのか。
現代は中世の人びとが目指したユートピアにたどり着いていると言えます。
しかしどうでしょうか。幸福な世界が訪れているでしょうか。
格差はどんどん広がり、貧困に陥る人は増えています。経済の中間層もこれからは消え、ますますひどくなる言われています。
なぜ物が溢れ、生産性が良くなっているのに、人類には幸せが訪れておらず、問題ばかりなのでしょう。
産業革命以降の2世紀で、長く停滞していた世界経済は250倍、一人当たりの実質所得は10倍に増えており、60億人が携帯を持ち、寿命は100年も伸びています。(1)
世界が望んだ世界が来たが、幸せではない。
人間の進歩は一種の神話に過ぎないと誰かは言いましたが、
人間にとって前進することだけが正解ではないということでしょう。
豊穣の地は資本主義だけでは成し遂げることはできない。
資本主義によって全世界がいひとつになり、様々なものが生み出され21世紀はとても豊かな世界になることができました。
しかし、資本主義という制度が疲弊してきており、それだけでは豊かになれないということに気づき始めています。
現在の先進工業国では、国の富のうち58%しか、給与として労働者に支払われてい居ません。なぜこのような事態になってしまったのか、それは仕事が機械に変わられ、限られた富裕層が圧倒的にお金を儲けているからです。(2)
若者のうつ病はこれからどんどん増えていく。
なぜうつ病が増えるのだろうか。
それは若者の未来が良くなるとは思えないからです。
先が不安だと心も病んでしまいます。
心の病気はどんどん少なくなり、精神医はいらなくなると言われていましたが、
WHOによると、現在、うつ病は10代の若者の最大の健康問題となっており、2030年には世界の病気の第一位になると言います。(3)
日本は平和でだれもが憧れる国と思われているが、先進国の中で自殺で命を絶つ人が多くいます。もうお金だけの面を見て対応するのを改める必要があります。
心と体を一番に考えないといけません。
目に見えることだけを求めていてはいけません。目に見えない部分も大切にしなければなりません。
「国民総生産(GNP)はあらゆるものを測定する。人生を価値あるものにするものにするものを除けば」とロバートケネディは言っています。 (4)
貧困は「人格の欠乏である」
貧困がなぜ悪なのか。それはお金がないからダメというわけではありません。
貧困は人間の判断を鈍らせるから悪なのです。
経済学者ジョセフ・ハンロンは言っています。「貧困とは、基本的に現金がないことだ。愚かだから貧困になったわけではない、靴をはいて立ち上がろうとしても、そもそも靴がなければ話にならない。」
AIが支配する世界にはベーシックインカムが必要になる
人口知能に関する本などを読んでみるとほとんどの人がベーシックインカムが必要になると言っています。
AIによって人間は仕事を奪われてしまいます。
だからほとんどの人は働きたくても働けない状況になってしまいます。
本当に一握りの何かに特化したプロフェッショナルしか生き残ることができなくなります。
そのような状況になると一般人はお金を稼ぐことができなくなります。
お金を配ると人間は怠惰になり、おかしくなってしまうと思われますが、
そんな心配は無用です。
現金を無償で配るという実験で良い結果が表れているのです。
本当のユートピアは現れるのか?
哲学者バートランド・ラッセルはこう言っています。
「人間が幸せでいるためには、あれやこれやの楽しみばかりではなく、希望や冒険心や変化が必要だ、求めるべきは、完成したユートピアではなく、想像と希望が生きて動いている世界である」 (7)
人間が数字だけで考えた未来はうまくはいかないということではないでしょうか。
目に見えないことを大切にすることが大切になります。
数字のことなんて機械に任せて、人間は遊び、創造し、実験し、冒険をすることがこれからはますます必要になるでしょう。
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働
本書引用
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